磁北と真北

普通のコンパスが指す北(磁北)は北極点の方向(真北)から少しずれています。どれくらいずれるかは時間と場所によって変化します。東京近辺ではコンパスは真北から7度くらい西を指します。実は磁北極は日本からみると北極より少し東よりにあるのですが、東にずれるのではなく西にずれるのが不思議なところです。地磁気のベクトルは必ずしも磁極の方向を向いているとは限らないからです。つまり、コンパスの針は磁極を指しているわけではないのです。

したがって、磁極の位置がわかれば計算で磁北の方向がわかるかというとそんなことはなくて、結局は変換テーブルが必要です。そのためにWorld Magnetic Modelというグローバルな地磁気モデルをアメリカとイギリスが共同で開発し配布しています。(https://www.ngdc.noaa.gov/geomag/WMM/DoDWMM.shtml)

その最新版であるWMM2015に基づいた磁北と真北のずれを示したMapがあります。
https://www.ngdc.noaa.gov/geomag/WMM/data/WMM2015/WMM2015_D_MERC.pdf

これをみると世界にはコンパスが真北から20度くらいずれる地域もあるようです。ニュージーランドや南アフリカはずれが大きいですね。日本でも北海道に行くと10度近くずれています。

crowdMagの画面
crowdMagの画面

スマフォのコンパスアプリは地磁気センサーの値を使っていますから磁北を0とした値を表示しますが、真北を0とした方位角を表示できるものもあります。そのようなアプリはWMMのようななんらかのモデルを使用しているのではないかと思います。

ところで、WMMを開発し配布している National Centers for Environmental Information というところでは、CrowdMagというプロジェクトを行っています。これはスマートフォンが持っている地磁気センサーで世界中から地磁気データを集めてリアルタイムに近い地磁気モデルを作成するというものです。

https://play.google.com/store/apps/details?id=gov.noaa.ngdc.wmm2

このアプリは定期的に地磁気を測定して送信する他、WMMを使って指定した位置の地磁気の値を計算で求めることができます。集計したデータも見られるはずなのですが、なぜかスマフォではまったく見えません。やっている人が少ないのでしょうか。以下のページで集計データを見ることができます。

http://www.ngdc.noaa.gov/geomag/crowdmag.shtml#data

PAGE TOP