GPS衛星の位置を計算するためには、まず衛星の楕円軌道面上での2次元座標を求めてから、これを地球中心座標系(ECEF)に変換します。ここのところがわかりにくいので書いておきます。
地球中心座標系は地球の中心が原点で、経度0の子午線(グリニッジ子午線)の方向がX軸、北極方向がZ軸、これらと直交するのがY軸となる座標系です。衛星の楕円軌道面と地球の赤道面との関係を表すパラメータが3つあり、これらに基づいて座標系を回転させることによって、楕円軌道面の座標をECEF座標に変換することができます。
その3つのパラメータが、
・軌道傾斜角 i
・昇交点赤経 Ω
・近地点離角 ω
です。
軌道傾斜角は赤道面と衛星軌道のなす角で、GPS衛星の場合、大体55度です。
昇交点赤経というのは、地球の中心から衛星軌道が赤道面を下(南)から上(北)へ突き抜ける点―昇交点へ向かう方向を春分点方向とのなす角です。昇交点は上の図でわかるのではないかと思いますが、春分点がわからないですね。
昇交点の方向を示すのに、例えばグリニッジ子午線なんかを基準にしてしまうと地球は自転しているわけですからわけがわからなくなってしまいます。天球上に固定されている物の位置を表すためには、地球の赤道面を延長してできる天の赤道を基準として、地球上の経度緯度と同じように天球上の緯度、経度を考えます。これが赤緯、赤経です。
その時にどこを経度0とするかというと、春分の日に太陽の赤緯が0になった時の太陽の方向を赤経0とします。これが春分点方向です。
ちなみに春分の日と秋分の日を境に夏の間は太陽は赤緯がプラス(赤道面より北側にある)で、冬の間は赤緯がマイナス(赤道面より南側にある)となります。
軌道傾斜角と昇交点赤経とで軌道面は確定したのですが、もう一つ、楕円軌道の長軸方向を決めてやる必要があります。これが近地点離角で、地球中心からみた昇交点方向と近地点方向のなす角です。
以上に基づく、楕円軌道上の座標からECEF座標への変換については以下を参照ください。