先日、Google が Google Wallet なるサービスを発表しました。いわゆる Google版「おサイフケータイ」です。先月の Google I/O 2011のNFCのセッションでは、タグを読み取るリーダーライターや電話同士でデータを送受信するPeer-to-peerのデモを盛んに見せており、いわゆる「おサイフケータイ」機能(Card Emulationによるペイメント)については、「なぜやらないのか?」をよくある質問として取り上げていました。
が、なんだかんだいって結局やるわけですよ。以下の記事をみるといちおう地道に実装はしていたようですしね。
Card emulation changes in Android 2.3.4
で、NFCで Card Emulationをやる場合、セキュアエレメント(SE: Secure Element)というクレジットカード情報などをおくセキュアな領域をどこに置くかを考える必要があります。Google Wallet の対応端末である Nexus S 4Gは組み込みの専用チップの中に置いていますが、他にSIMカードの中に置いたり、microSDカードの中に置いたりします。通信事業者(キャリア)はSIMカードの中に置くことを好むようです。
今回、Googleは、支払いを行う Google Walletだけでなく、Google Offersというクーポンサービスとの合わせ技で発表しています。実際、デモをみても、ポスターに貼り付けられたタグをNFCで読み取ってクーポンを手に入れたり、PC上の操作でWEBサイトからクーポンを買って Android端末にPushしてから、お店へ行って、シングルタップでクレジットカード情報、クーポン情報、お店の会員証(ポイントカード)をいっぺんに送信できる、というような一連の流れをやってみせています。
ここいらへんはさすがによくできていますね。でも、日本ではFeliCaでとっくにできていたことなんですけどね。
http://www.google.com/wallet を読むと詳しいことがいろいろわかります。MasterCardがパートナーになっていて、R/W(Reader/Writer:読み取り側)は PayPassです。すでにある読み取り端末がそのまま使えるようですから、まずはGoogle(とSamsung)がPayPassに対応させたのですね。しかし、あちらこちらに書いてあるように、Googleが意図しているのは財布に入っているすべてのカードを格納すること、そのためのOpen Systemであるということで、APIを公開するそうです。
セキュリティにはかなり気をつかっているようで、どんな支払いでも必ずPIN入力が必要なようです。また、端末の画面が OffになっているときはNFCアンテナもOffになるので使えません。ここらへんは FeliCaと異なりますね。また、今のところ、何を購入したかという情報は端末で受け取らないとのことです。支払いを行った時刻とどのカードを使ったかが記録されます。
試行期間を経て夏から本格的にサービスインとのことですが、はてさてどうなりますでしょうか。楽しみですね。
以下は発表会のビデオです。33分50秒あたりから始まる Mobile Commerce Vision というビデオがなかなか Goodです。技術的には FeliCaですでに出来ているような気もするのですけどね。